2012年03月28日

ベルの定理(1) 隠れた変数がないとは

筒井泉「量子力学の反常識と素粒子の自由意思」を買いました。 この本は、啓蒙書の体裁をとっていますが、内容は、高度です。 これから、しばらく、この本の文章を読んで、裏にある数式を書いていってみます。 恐縮ですが、本の文章や図の転載は、基本的にはしません。 安い本ですので(1200円)、是非、購入されることを、お勧めします。 p46に、空間的に離れたある測定器A,B(本ではテレパシー装置と言ってますw)の測定結果が 載っています。 測定器AとBの真ん中から出た粒子の状態を、光円錐の外で測定するわけです。 測定結果を要約すると、 1.測定器Aのダイヤル(ベルの定理の説明で言えばθ)が、測定器Bと一致した時は、    測定結果は 100%一致 (正確にいえば100%の反相関) 2.一致しなければ、測定結果は、ランダム(したがって、測定結果が一致することもある) で、    かつ、全体を平均して見れば、完全なランダム というものです。 仮に、隠れた変数があったとします。 空間的に離れたある測定器A,B間では、瞬間的な情報の交換は、できませんので、 (できたら、物理の基本的前提である「操作は局所的である」ということが、成り立ちません) したがって、隠れた変数は、粒子が、真ん中から出た時に、状態を指定できるか、 せいぜい、その後の状態を変え続けられるだけです。 要は、Aで、ある状態になったからといって、それに合わせてBの状態は、変えられない ということです。 で、1より、隠れた変数は、A,Bの測定値のすべての組み合わせを、指定していることに なります。 仮に、θを3種類で考えると、結果は一致するかしないかだから、指定は2^3=8通りあります。 つまり、以下のような表で、状態を指定することになります。   1  2  3 1 ? ? ? 2 ? ? ? 3 ? ? ? 極端な場合、全部一致も考えられます。(p52の右図) しかし、2より、測定結果が一致する確率は、50% θを3種類で考えると、AとBの結果の組み合わせは、9種類 一致する場合を表にすると (p52の左図)   1  2   3 1 ○     ○ 2    ○ 3 ○     ○ この場合、結果が一致する確率は、5/9  上記の8種類には、全部一致、部分一致も考えられるので、5/9より下がることは、絶対にない! この値は、測定結果が一致する確率は、50%より、大きい。 ∴ 隠れた変数で、A,Bの測定値のすべての組み合わせを、指定することは、不可能。 したがって、隠れた変数を考えることは、無意味!! にほんブログ村 物理学





Posted by fqelgzflcg at 11:47│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。